アスベスト検査の歴史的経緯

アスベストは、古代エジプト時代から使用されてきた繊維状の鉱物です。耐火性に優れていることから建築材料や断熱材、船舶の防水材などに幅広く使われていました。このアスベストによる健康被害の報告は、20世紀初頭になってから現れ始めたのです。1906年にはイギリスで、アスベスト被曝による肺疾患の症例報告が行われました。

その後アメリカでも産業の労働者の間で肺疾患が報告されるようになり、1930年代には被曝による肺がんが確立されます。ところが産業はその影響力を利用して検査を抑制し、製品の安全性を主張し続けました。1960年代にはアメリカ合衆国で、産業の労働者たちが健康被害を訴えるようになり、その危険性が注目されるようになって徐々に広まっていきます。その後に様々な検査を経て、がんやその他の健康被害を引き起こす可能性があることが多くの研究で明らかになりました。

1980年代にはアメリカをはじめとする多くの国で、アスベストの使用が禁止されるようになったのです。現在では健康被害が広く認知され、多くの国で使用が制限されています。またアスベストを含む建材の撤去作業においては、適切な検査と防護措置が必要とされ専門業者による処理が求められるようになっています。人間が豊かさや利便性ばかりを追い続けた結果の健康被害といえるでしょう。

企業や産業は、命が第一であるということを改めて徹底しなければならいということを認知させる事例となりました。

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